【エッセイ】”透明人間”が”愛される人間”に生まれ変わる話


        
世の中には
見えない”輪っか”があって
その”輪っか”の中には
人が集まってくる
    
     
その”輪っか”の中では
笑顔の人たちが
みんな楽しそうに
仲良さそうに
   
   
おしゃべりしたり遊んだり
一緒に仕事をしたりして
幸せそうだ
    
   
その輪っかの中にいる人たちを
いつも遠くから眺めていた
      
      
その人たちが羨ましかった
だけど私はその輪の中には
入れなかった
       
      
わたしは
そこには必要とされていない
わたしのことは
誰からも見えていないような
そんな気がしていた
   
    
もういつから
そんな風に感じていのかさえ
覚えていないくらい
昔からずっと感じてたことだ
     
    
私なんて
いてもいなくても一緒だね
   
   
誰も私のことなんて
気にしてないよね
     
      
私がいてもいなくても
同じなんだから
   
    
いつだって私は
あの子たちの輪の中には
入れないんだ
     
       
誰も私の
味方にはなってくれない
親身にもなってくれない
    
        
私は最初から
この世界にいないみたいだ
透明人間みたいだ
          
       
        
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消えちゃいたい
         
          
誰からも必要とされない私が
とても恥ずかしかった
わたしは私を
ずっと恥じていたんだ
           
             
大人になった私は
最近そんな事を思い出しながら
考えることが多くなった
    
   
『私は誰に
 必要とされたかったんだろう』
           
             
お母さん?お父さん?
可愛いかったあの友達?
優しかった彼氏?
それとも仲が良さそうな
SNSの中のあの人たち?
   
     
違う、そうじゃない
      
      
私は確かに
彼らが大好きだった
だから必要とされたかったのは
確かだ
   
  
名前を呼んで欲しかったし
こっちにおいでよって
一緒に遊ぼうよって
言って欲しかった
      
        
わたしの目を見て
『あなたのことが必要だよ』
って言って欲しかったけど
     
      
でも違う
本当の望みはそうじゃない
    
    
私がずっと欲しかったのは
私がずっと求めていたのは
  
         
    
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わたしの心だ
       
          
わたしがこんなにも
“私”を求めていることに
気づいて欲しかったのは
何者でもない
“ただの私”だったんだ
       
       
あなたが必要だよ
あなたが大好きだよ
あなたが大切だよ
   
     
わたしから放たれる
その言葉を”私”は
ずっとずっと待っていたんだ
     
     
それに気づいたとき
私は泣いた
大きな声を出しながら
子供のように延々と
     
     
やっとやっと
心から言ってあげられるね
         
        
あなたは必要な人だよ
あなたは私にとって
とても大切で必要な人だよ
わたしの人生には
あなたが必要なんだよ
      
      
まわりを見渡してみる
わたしは気づいたら
ずっと入りたかった
輪っかの中にいた
       
      
わたしのまわりには
わたしの事を
必要としてくれる人が
たくさんいた
     
        
これまで
見えてなかったものが
見えていなかった世界が
今、見えてきた
     
    
悲しみ、寂しさ、孤独
それを感じていることは
恥ずかしいことじゃない
      
    
誰にも
必要とされてないように
思えていたとしても
恥ずかしいことじゃない
私もあなたも 
       
         
どうか悲しまないで
どうか泣かないで
     
     
わたしの人生には
あなたが必要だから
どうか忘れないでいてね
        
𝑁𝑜𝑎ℎ☪*̣̩