【エッセイ】闇の中で”魔法の在り処”を見つけたお話


       
『魔女の宅急便』を見た
正確に言うと
見たんじゃなくて聞いた
     
        
子どもたちが
車の後席こうせきモニターで
見たいというので
DVDをずっと流しっぱなし
     
    
運転席から映像は見えない
だから私はこの映画を
ずっと聞いていただけ
   
    
子どもたちが
何回もり返し見るから
セリフだけみょうに耳に残るように
なってしまった
       
      
主人公のキキが
魔法が使えなくなって
飛べなくなったときに
助けに来てくれた友達に
こう言っていたんだ
    
    
『私、今まで
 魔法が何かなんて
 考えたこともなかった』
     
     
きっとキキは
物心つく前から自然に
当たり前に
空を飛んでいたんだろう
   
   
どうやって飛ぶかなんて
考える前に
好奇心と無邪気さだけで
きっと自由に飛べたんだ
   
    
そのキキの言葉を聞いて
ふと自分のことと
重ね合わせてみた
  
      
7年前、
自分の会社を作るときに
税理士さんから
『社名を決めて下さい』
と言われたとき 
     
       
私は何も考えなかった
『願いを叶える魔法を届ける
 マジカライズワールド
これが会社名です!!!』
そう恥ずかしげもなく言った    
    
     
今思うと、社名長すぎだろ!!
ファンタジーすぎるだろ!!
と、ツッコミどころ満載まんさいだけど
     
      
その当時の私は
社名にしては長過ながすぎるかとか
誰かがこの社名を
見たりに聞いたときに
どう思うかなんて
1ミリも考えなかった
        
        
私は”願いを叶える魔法”を
届けるんだーー!!って
それが私の使命なんだ!って
何も考えずにそう信じていた
      
       
ちなみに”マジカライズ”は
Magic《魔法まほう》と
Rise《のぼる、出る、飛び立つ》
これをかけ合わせた
私の作った造語ぞうごなんだ
    
    
『隠されていた魔法が
 表に出てくる』
そういう意味を込めて
マジカライズなのだ
     
     
私は純真だった
そして私は無邪気だった
何も疑ってなかった
     
      
この世界に存在する魔法が
当たり前に誰の中にもあって
そしてその魔法を
私が世の中にまた広めるんだと
意気揚々いきようようとしていたんだ
    
    
でも
私が何も書けなくなった時
書かなければ!と思えば思うほど
何も書けなくて
   
    
焦ってもがいて
すべての事が
プレッシャーになって
   
     
スピリチュアルを
嫌いになりかけた時に
私はこう考えるようになった
     
       
ところで
私が書こうとしている

魔法って一体何なのだろう
    
     
私が必死になって
伝えようとしていた
魔法とは
一体何だったのだろうかと
その時から考えはじめた
   
    
それまでの私は
願望実現についてずっと
研究していたこともあって
     
   
魔法というものは
“願いを叶える
スピリチュアルテクニック”とか
“精霊を呼び出す呪文”とか
“目に見えない世界と繋がる方法”
とか、そういう事でしょ❓
     
   
そんな風に
単純に考えていたんだ
   
    
だから
私が書けなくなった時
何も伝えられなくなった時
私の中から同時に魔法も
消えてしまったと思った
     
     
今まで自分が持っていると
思っていたものが
   
     
自分の中に無限にあると
思っていたものが
無になってしまった時の絶望
   
    
それはそれは計り知れない
ものだった
   
    
でも自分にとっての魔法って
一体何なのだろうと
真剣に考えたときに
   
    
魔法というのは
スピリチュアルな情報とか
願いを叶えるテクニック的な
ことだけじゃないんだと
今なら分かる
    
     
みんなディズニーランド
知ってるでしょ
ディズニーランドにいる
ミッキーも知ってるでしょ
    
    
ミッキーはいつも言うよね
魔法は君の中にあるってね
  
   
魔法って学ぶものでもなくて
習うものでもなくて
既に自分の中にあると
気づくものなんだよね
   
   
そしてもっと興味深いのは
ディズニーの世界において
魔法のシンボルでもある
ミッキーが『ネズミ』
だということだ
   
   
なぜウォルトディズニーが
魔法の世界の
一番のシンボルとなる存在を
『ネズミ』にしたのか
あなたは知ってるかい?
         
       
ネズミという生き物は
薄暗くて汚くて
臭い場所にいる
         
        
泥だらけでゴミ臭くて
誰も見たがらない
近寄らない
それがネズミだ 
        
        
でも
ディズニーの魔法の世界では
ミッキーは最高のヒーローで
魔法使いでもあり
一番輝いている存在だよね
     
  
普通に考えたら
おかしすぎるんだ
      
       
世界で一番醜くみにくく汚れた存在が
魔法のシンボルだなんて           
        
     
でもね、実はその通りでね
魔法っていうのは
人間が絶対に見たがらない
自分の中のドロドロとした部分
    
     
汚くて醜くて恥ずかしくて
恐れと不安のたまり場
そういう自分自身の
闇の中にこそ
一番に輝く魔法があるんだ
    
    
ウォルトディズニーは
人々に”真実の魔法の“を
教えるために
       
      
ディズニーランドの
魔法のシンボルを
一番汚くて臭くて
誰も近寄ろうとしない
“ねずみ”にしたんだ
     
    
ウォルトディズニーからの
メッセージに気づいた時に
なんだか目が覚めた
      
       
その時の私は
何も書けなくて
何も伝えられなくて
       
    
自分の中の魔法が
どこかに消えてしまったと
思っていたけど
決してそうではなかったんだ
    
     
私は絶望したからこそ
自分の一番見たくなかった
内なる闇を見たからこそ
  
   
『真実の魔法』
どこにあるのか
知ることができたんだ
   
    
私がもがきながら
闇の中で見つけた
『真実の魔法』は
     
        
魔法の使い方を
教えることでも
願いを叶える方法を
広めることじゃなかった
     
       
宇宙人やスピリチュアル存在を
明らかにすることでもなかった
    
     
私にとっての真実の魔法は
ただただ『私』だったんだ
      
     
私の光も、闇も
すべてが魔法だったんだ
      
       
魔法の使い方なんて
魔法の呪文なんて
何も必要じゃなかったんだ
   
  
私がこの世界にいることが
ただただ魔法なんだと
その時にわかったの
       
           
それから私は
私の言葉で
『私』を書きつづりはじめた
      
     
私の光も闇も
不安も恐れも
恥も苦しみもねたみも怒りも
悲しみも
   
    
そこにもちゃんと
魔法が存在しているって
気づいたから
    
       
私はもう
何を書いても大丈夫
何を言っても大丈夫
今、そう感じています      
     
        
闇の中で見つけた魔法を
もう二度と
見失うことはないから
   
     
今日も私は
黒くて汚くて醜い
わたしの闇に光を当てながら
   
    
私の魔法を
私だけの魔法を
この世界に魅せ続けるよ
         
𝑁𝑜𝑎ℎ☪*̣̩